NPOのWEBサイトを、リニューアルするときに覚えておきたいこと

多くのNPOの場合、WEBサイトをリニューアルすることは、一般サービスや会社などとは違って頻繁にはないかもしれません。

単にサービスを提供しているのではなく、社会課題を解決していくことが主たる目的なので、どうしても固定されたメッセージを長く使っていることが多いのがひとつの理由です。

それでも、やはりリニューアルが必要な時が必ず来ます。
今回は、そんなリニューアルのタイミングで機能や設計以外で、ぜひ考えてみたいポイントをいくつか紹介したいと思います。

なぜリニューアルするのか考えてみる

古くなったからリニューアルすることは間違いないのですが、それだけにとどまらずこのタイミングでしかできないことをぜひ考えてみましょう。

リニューアルタイミングは団体活動の棚卸しのタイミングでもあります。

新しい団体であれば積み重ね要素はやや少ないかもしれませんが、ある程度長く活動してきた団体なら、資産と呼べるものが多くあるはずです。そしてまた資産と同じくらい、捨ててしまってもいいものもあると思います。

リニューアルはその取捨選択するのに絶好のタイミングです。
取捨選択を考えていくことによって、団体活動の本質が浮き彫りになり、大事に残していきたいものと、捨てるもの、そしてこれから取り組みたいことがよく見えてくることがあります。

箇条書きにすると、このようなものになると思います。

・過去資産を見返して、活動の本質を見つめ直す
・今の時代にあった活動や事業を、考え直すきっかけとする
・将来的に取り組みたいことを、目標として立てていく

以上のような、団体内部の活動全体の棚卸しを行うことは、機能やデザインを新しくすることよりも、もっと重要なこととなります。

この作業を軽んじると、SNS連携したい、情報発信を強化したい、という今のWEBサイトでは当たり前に行うこと自体をリニューアルの目的にしてしまうことにもなりかねず、だとしたら、少しもったいないと感じてしまいます。

問題の払拭だけではなく、より高い目標を

古くなったサイトですので、目に見える範囲での問題点を洗い出すことはある程度簡単だと思います。
リニューアルでは問題点の解決はもちろんですが、できればより高い目標を立てて、団体活動のモチベーションアップ、またそれに伴う支援者の拡大につながる機会にしていきましょう。

伝える方法を新しくする

例えば、環境問題は、先人から多くの知恵と勇気が蓄積されていることが多い「古い」社会課題のひとつといえます。でも今はグレタさんの活動や持続可能性への注目を見るとわかるように、若い世代にも興味を集めているトピックとも言えます。
蓄積された知恵や勇気を、世代の違う人達へ伝えていくことも大切な事になっていく場合、同じことをいうにも伝え方が変わってきます。またコミュニケーション方法も変わってきます。
このように、社会課題や自分たちの活動にあまり変化がなくとも、社会からの関心が変わると、伝える方法も新しくしなければなりませんし、逆にそれが新しい支援者の拡大にもつながる話になります。

普遍的な問題を整理する

新しくする必要のないものも、もちろんあると思います。多くの場合、むしろそちらのほうが多いと思われます。
ただし、変化がないものと、普遍的なものは似ていますが、実は同じではないことに気づく必要があります。
扱う社会課題の当事者だけでなく、社会全体に課題を共有していくためには、そのままで伝えるだけはなく、それが社会全体の普遍的な問題ということを伝える努力が必要です。

以上のふたつのことは、実は相反する要素でもあります。
難しく考えすぎなくてもいいと思いますが、簡単に言うと、

古くなったものは新しく、古くからあるものは普遍的に伝えよう


ということになります。
このような棚卸し作業の時間を作ることで、煩雑なリニューアル作業にも見渡しがきくようになり、より建設的に作業が進むことが期待できます。

問題を共有することでできるデザインがある

リニューアル作業において、NPO自身の活動や事業について理解があるのとないのとでは、仕上がりやディティールに差が生じます。
この場合のディティールというのはデザインの個別の要素のことではありません。
課題設定と目標設定のようなものになります。
デザインを行う制作パートナーは、このことをより親身に共有できることが、リニューアル作業においてとても大切なことになります。

わかりやすく、クリエイティブに表現することと同じくらい、団体に寄り添って問題を共有することで、デザインに影響していき、そのことが最終的には見る人や支援する人に伝わっていくことになります。

ということで今回は以上になりますが、この内容はUNPLUG.でリニューアルのお手伝いをするときに、いつも自分や相手に問いかけながら取り組んでいることです。
リニューアルするのであれば、世代を超える共感性と普遍性を目指そう、というのがお伝えしたかったことです。


最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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