NPOサイトならではの注意ポイントあり。よりよく団体活動を伝えていくためには

NPOサイトを新規制作またはリニューアルする場合、一般企業のサイト制作とは異なる注意ポイントがあります。
予算や表現といったわかりやすい部分はもちろんですが、最も大事なポイントはそこではありません。

この記事では、そんな注意ポイントをいくつかわかりやすくお伝えしたいと思います。

複数のステークホルダーの存在

WEBサイトを通じて、活動内容やビジョンなど情報発信していくのは企業サイトでも変わりませんが、複数の立場の違うステークホルダーがいることがサイト構造や設計に少なからず影響を与えます。
企業サイトでは商品やIR情報はサイトやページを明確にを分けていることが多く、ニーズによって情報が混在することはあまりありません。
ですから、あるコンセプトやある商品を販促目的として設計されることがほとんどですが、NPOなどの非営利団体の場合、ステークホルダー向けに、サイト情報を切り分けることはあまりありません。

これは制作予算の問題というのではなく、そもそも活動と経営と情報発信がすべていっしょになっているのが非営利における常態であって、複数のステークホルダーがサイトを訪れたとしても、違和感なく必要な情報にアクセスできる環境を作り上げることがとても大事です。

設計として閲覧者の属性を振り分けた場合は、しっかり何向けの情報かを明確にわけて、かつサイト内にしっかりと同居させることがNPOのWEBサイトでは重要です。

寄付やクラファンなどは別にして、特定の目的のために団体活動を切り分けないように全体として設計することがとても重要だと考えます。

代表の熱さと組織の冷静さ

活発な活動を行っているNPOには、ほぼ100%必ず熱い代表が存在しています。そもそも非営利として活動をはじめるにあたって、何をやるのか以上に、誰がはじめたのかはとても大切というか、それが非営利団体の主たる特徴ともいえるでしょう。

貧困問題を解決したい、子どもの教育環境をよくしたい、地域をもっと活性化させたい、など、様々な課題意識をもって、いわば「自分が動かざるを得なかった」というのがNPOの代表であることが非常に多いです。

そして、ジャンルや規模に関わらず、そんな熱い代表と同じく大事なのが、それを受け持つNPOという組織の冷静さです。
代表個人が持った課題意識を組織として社会全体に浸透させ、その課題を解決するために様々な活動が行われるところがNPOの本体です。
そこには単に熱さを拡散させる装置としての役割だけでは、成立することは困難でしょう。
社会課題として多くの人に共有させていくために、事業や活動を冷静に設計し、そして地道にこつこつと運用したり、対応したりしなくてはなりません。

昨今よく問題がおこる部分としては、代表の権威性が強くなりすぎて、その下位組織として職員が隷属するようなアンバランスな状況が生まれていて、かつ長年改善されていなかったという問題が、残念ながら散件されるようになってきました。
そうならないように、代表と組織は常にバランス良くかつ透明性を持って車の両輪のように、かたよることなくお互いが独立して進んでいかなくてはならないと思います。

サイト制作や広報についてもこのあたりを意識することで、やるべき施策は自ずと変わってくるものだと思います。

NPOという団体がどのように生まれるのか

NPOという団体がどのように生まれるのか、それは熱い課題意識をもった代表一人の個人の思いから生まれることが多いです。

社長がいて部長がいて課長がいて、、、という垂直統合が多いのが企業組織でしょう。でも最近はこれを良しとしない、フラットな組織だったりティールな組織であったり、組織構造にも変化が起こっています。

そうだとしても、やはり企業とNPOではその構造が違うと思います。
熱い代表が組織のセンターにいてそこから温度感が全体に徐々に伝わってサークルを作っていることが多いです。


垂直統合型
社長がいて部長がいて課長がいて、、、という昔ながらの縦型ピラミッド構造の組織。

自律分散型
メンバーが個別に問題意識を持って自律的に行動することで全体が改善されていくフラットな組織やティールな組織。

伝熱型
サークルの中心にエネルギーがあり、その周辺にそのエネルギーが伝わって全体が有機的に形成される組織。

NPOの場合は3番めの伝熱型が多いと感じます。
そのような組織と仮定できた場合、組織の温度感がそれぞれ違うとしても、その組織のどのような場所でも熱が常に存在しており、その熱を外部に伝えることで、社会全体を温めていく、そんなイメージを持てるとよいかと思います。

一点突破の破壊力や効率最優先の合理性だけではなく、いつも熱を伝え続けてその温度をできるだけ下げずに、社会全体をずっと温ため続けていく、というイメージが実装できるように考えていきたいものです。

機能だけでもデザインだけでも解決できない部分

機能だけでもデザインだけでも解決できない部分、つまり恒常的な温度感とそれをキープできるようなメニュー設計やコンテンツにより情報発信がサイトデザインに求められるのではないかと思っています。


やや抽象的であまり具体的なことが書けなかったのですが、少なくともこの記事でかいたような意識を持って制作をすることで、きっとNPOの広報は届けたい人に届いていくのではないかと考えています。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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